立夏も過ぎて、早くも初夏の汗ばむ季節となりました。夜になると田んぼでは蛙が盛んに鳴いています。
子どもの頃、上宇部尾の田や小川でオタマジャクシ、メダカ、ドジョウなどを捕ったことを思い出します。
まだテレビはなく、電話もなく、もちろんガスもなく、ご飯はかまどで炊き、お湯はしちりんで沸かし、お風呂は五右衛門でした。それが当たり前のことでしたから、不便すら感じませんでした。
父は結核で長い間入院していました。母は宝林寺の留守番と私たち三人の子育てで大変だったことでしょう。
いわゆる団塊の世代で、子どもたちが沢山おり野山で走り回って遊んでいました。
そのうち村の親方さん宅にテレビが来て、夕方から八時、九時まで居間いっぱいに村の老若男女か詰めかけて見させてもらいました。今にして思えば大変迷惑なことだったでしょう。藤田まこと、大根島出身の白木みのる出演の「てなもんや三度笠」に笑い、プロレスの力道山に興奮したものでした。
プロパンガス、電気釜に驚嘆し、なんと便利なものかと思いました。
村に有線放送電話が施設されました。会話は筒抜けで、今でいう個人情報はだだ漏れでしたが、一向に気にすることもなく使っていました。もらい湯に行ったり来たり、夏は開け放して中は丸見え。
あれから六十年、当時からは想像もできない、溢れるほどの物に囲まれて有難さを忘れてしまいました。そして、あまりにも個を尊重しすぎて、なにかギスギスした世の中になってしまったように思へてなりません。
写真は八雲町かやぶき交流館です。